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東京S邸

東京S邸

東京都 練馬区

敷地面積
367.56m2
建築面積
174.87m2
延床面積
316.82m2
構造規模
木造2階建
施 工
株式会社 大山建工
  • 第3回 埼玉建築文化賞最優秀賞

木の建築を熱望する若夫婦からの依頼である。

東京とは思えないほどの閑静な住宅街にあり、周辺家屋も立派な家が建ち並ぶ一画にある。土地の形が綺麗で面積もあることから、老夫婦とともに住む二世帯住宅として計画することとなった。

銀行融資の問題などもあって、2年にわたって基本設計を詰めてから実施設計へと移った。基本設計には時間を掛ける方だが、これほど長期にわたってのことは初めてだった。

家の隅角には桜の老木があり、区役所からもこの木は伐らないで欲しいと要請があった。2本の桜が対になっており、恐らく樹齢120年ほどのものと思われる。当初は施主も伐ろうと思った時期もあったようだが、これを生かさなくてはと押しとどめ、今回の計画に入れ込んだ。

1階に老夫婦、2階を若夫婦世帯の住まいとして設計した。

かねてから家族同士の仲が良く、これまでも月に一度は家族揃って食事会を開くなど、羨ましい交流が育まれていた。新居でもそうした家族の集う場所が欲しいと、1階の桜を囲む場所に家族室を設けた。赤松の梁を縦横に組んだ個性的な空間で、戸を開け放つと庭と一体になる。周囲には、タイル張りの使う庭と、植裁に彩られた芝庭とがぶつかり、桜の時期には見事な華やかさが広がる。

この桜は、家中どこからでも眺められるようにと家族の象徴とした。2階のリビングは特に開放的で、前面のガラスは周囲を全て取り込む。

木部には柿渋を塗り、色合わせと同時に木部の保護も期待した。床は製材時に出た赤松の木片を加工したもので、不均等な長さのものをリズミカルに張っている。市販のフローリングとは異なる表情が特徴で、無垢の木のもつ暖かさに、施主も驚きの声を上げていた。

東京S邸

前田 伸治
暮らし十職 一級建築士事務所

Shinji Maeda & Kurashijisshoku Archiects Office

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