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伊賀くみひも平井

伊賀くみひも平井

三重県 伊勢市

敷地面積
351.63m2
建築面積
250.40m2
延床面積
2,353.78m2
構造規模
木造2階建
施 工
高山建設株式会社

内宮前にあった出店から、本格的なひとつの建物として作られた。以前の内宮前より下手に位置するものの、市営駐車場からの人の流れを掴む立地にある。町家の建物に展開する、組み紐の世界を現したい。

以前この場所には、規模こそ小さいものの平入りの町家が建っていた。伊勢の町家では妻入りが通例の中にあって平入りは珍しい。隣の五十鈴塾は私が15年前に作ったものだが、その時もこの平入りの建物に高さを合わせて外観を構成した。その建物がこのたび取り壊されることとなり、新たに本建物が作られることとなった。そのため、今度は隣接する五十鈴塾に高さを倣うことで、かつての街並みを再現してみた。軒を合わせた2軒が連なるだけで、街並みの雰囲気が醸成される。

外観左側は、擬洋風の建物が取り付く。かつて蔵があった場所に、こうした洋館の応接室が作られた例もあって、ここではそれに倣った。

ここはおかげ横丁が果実工房を展開する場所として、商いからもそうした展開を受け入れる要素があると考えた。

店を入ると踏天井の架構が表れ、奥へと続く空間にいざなわれる。ガラス越しには中庭の緑も散見される。ここには椿が植えられ、白い可憐な花が咲く。隣の五十鈴塾とも井戸庭を通して繋がり、工芸の世界と、文化を学ぶ塾との、両建物を通した使い方を模索されてもいいだろう。

奥の棟はくみひもの工房として、手前に作業場をおき、板間座敷では展示とともに、くみひも体験などができる。

小屋梁を縦横に掛けた空間は力強く、2階座敷からは屋根の甍越しに、伊勢の山々を望むことが出来る。柱や胴差、造作材には栂を用い、小屋梁には地元の杉を用いた。

伊賀くみひも平井

前田 伸治
暮らし十職 一級建築士事務所

Shinji Maeda & Kurashijisshoku Archiects Office

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